一番普及しているのは、FM多重放送を利用する方式です。「見えるラジオ」などでFM文字多重放送を利用している方もいらっしゃるかもしれませんが、FM放送の電波の隙間を利用して、渋滞情報も一緒に送信されているのです。たいていはFM-VICS受信機が自動的に選局してくれるので、電源を入れてしばらくすれば渋滞情報を受信して画面に表示してくれるはずです。
VICSにはレベル1からレベル3まで3種類の表示方法があります。レベル1というのは電光掲示板のように文字で渋滞情報が表示されます。これは普通のFM文字多重放送の渋滞放送とあまり変わるものではなく、ほとんどの人は使うことはないはずです(^_^;)。電波状態が悪くてレベル2やレベル3が受信できないというときの保険みたいなもの?でしょうか。
レベル2は、図形で渋滞の様子が表示されます。メニューで選んでいくと下のような画面が表示されます。
この画面では千葉のFM局から受信しているため、千葉県やその近辺の情報が表示できるわけです。つまり、千葉から神奈川の渋滞情報を得ることはできないのです。たとえば、1番の一般道を選んでみるとこのように表示されます。
かなり大まかですけど、渋滞の様子がとりあえず分かります。画面はこれだけでなくて何ページかあるので、ページをめくればもっと詳しい情報が得られる地域もあります。
メニューから4番のような首都高速道路を選んでみるとこうなります。
ありゃ、けっこう空いていますね(^_^;)。高速道路の近辺に行かなくても渋滞情報がわかれば、どの道路を通って行くかを決めるときには参考になるものです。
しかし、これだけではカーナビと一緒になっている意味はあまりありません。普段カーナビは地図を表示しているわけですから、そこに情報が表示されてくれれば一番いいわけです。それを実現しているのがVICSレベル3です。下のように表示されます。
画面をスクロールさせているので十字線が出ていたりしていますけど、このようにカーナビの地図に沿って、渋滞しているところは赤線、混雑しているところはオレンジ線が表示されます。たとえば、自分が進んでいる道路がこの先渋滞していることが分かったなら、横道に外れて並行している道を探すとか、ルートを変更するといったことができるのです。
以上はFM-VICSですが、VICSにはほかの受信方法もあります。専用の受信機が必要になりますが、光ビーコンと電波ビーコンからの情報を得ることのできる装置もあります。FM-VICSは県ごとに同じ情報が送信されているわけですが、光ビーコン・電波ビーコンは道路わきに送信機が設置されていて、その道路を通った車が情報を受信できる仕組みになっています。つまりそれだけ局所的な情報が提供されているわけで、周辺の渋滞情報に関してはかなり正確に知ることができます。さらに光・電波ビーコンから送信される情報には所要時間情報も乗せられているので、カーナビによってはその時間情報をもとに、もっと空いている道を自動的に選択して渋滞を避けて道案内する機能を持っている機種もあります。
光ビーコンにはもう一つ特徴があり、受信するだけでなくて送信する機能も備えています。自分からいったい何を送るのか・・・と疑問も湧きますけれど、光ビーコン受信機には1台1台固有のコードが付けられていて、2つの光ビーコンを通過したときにはその間の所要時間がVICSセンターの方で分かる仕組みになっています。自分の行動が把握されている・・・と思うと警視庁のNシステムを思い浮かべますけど、VICS送受信機の場合は誰がどの番号であるかは特定されていないので、純粋に移動時間の計測のためだけに用いられることになっています。
長野オリンピックのときも、長野県ではこの光ビーコンが活躍してオリンピック関係車両をスムーズに走行させるのに貢献したそうですが、コンビニに寄った車を渋滞に巻き込まれたと勘違いすることも起きているようで(^_^;)、これから発展・応用されていく技術ではないかと思います。